企業価値評価に納得したけんぞう社長とのぶこ専務は、つなぐくんとアドバイザリーサービス委託契約書(以下、アドバイザリー契約)を締結することになりました。
エピソード①アドバイザリーサービス契約
M&A報酬の一般的な考え方
はじめに、M&Aの報酬は不動産業界のように法的な定めがございません。一方で、法的な計算方法ではないものの、多くのM&A会社は「レーマン方式」という計算方法を採用していることが多いです。その他、着手金、中間金、成功報酬、最低報酬というキーワードで、各社独自の考え方を持ち、お客様とご契約をしています。それでは、詳しく解説をしていきましょう!
報酬種類と支払い時期
M&Aの報酬には、主に4つ種類があります。全て採用している会社もあれば、1種類だけを採用している場合もあります。これらを支払時期順でみていきましょう。
着手金(アドバイザリー契約締結時)
中間金(基本合意締結時)
成功報酬(最終契約締結時)
リテーナーフィー(アドバイザリー契約締結後毎月)
室長コメント
ここ数年、中小企業においては大手M&A会社の報酬が高すぎるということで、顧客や紹介者から高すぎる報酬は嫌煙されるケースが多くなりました。それらの顧客の要望に応えるべく、報酬を成功報酬のみにする等価格設定で差別化している会社が急増しています。安かろう悪かろうではありませんが、価格だけに左右されずにアドバイザーを見て判断するように強くお勧めします
レーマン方式
レーマン方式とは、譲渡契約時の契約金額や移動する資産額等決められた係数に以下の料率を掛けて計算する方法です。
5億円以下 | ○○○○○×5% |
5億円超~10億円以下 | ○○○○○×4% |
10億円超~50億円以下 | ○○○○○×3% |
50億円超~100億円以下 | ○○○○○×2% |
■参考例:譲渡契約金額2億円、譲渡時移動資産4億円(譲渡契約金額2億円+負債2億円)の会社の場合
契約金額ベース | 移動総資産ベース | |
計算式 | 2億円×5% | 4億円×5% |
報酬 | 1,000万円 | 2,000万円 |
掛ける係数が違うだけで、1,000万円の差がつきました。この結果から分かるように、何に料率を掛けるかがとても重要です。その何によっては金額が大きく変わります。
各社最低報酬という設定を必ず設けております。一般的には、300万円~2,000万円となっています。これは、レーマン方式で掛け算をした際に、例え100万円という計算になっても、最低でもこれはだけはご報酬としていただきますという意味になります。
室長コメント
レーマン方式の料率を1%低く設定している会社も多くなってきました。
会社別参考事例
報酬の取り方が違う会社をそれぞれ比較してみましょう!
■参考事例:譲渡契約金額2億円 活動期間6ヵ月
着手金(着)、中間金(中)、成功報酬(成)、リテナー(リ)、単位:万円
着+中+成 | 着+成 | 中+成 | 成 | リ+成 | |
着 | 100 | 100 | |||
中 | 200 | 200 | |||
成 | 800 | 1,000 | 800 | 1,000 | 1,000 |
リ | 120 | ||||
合計 | 1,100 | 1,100 | 1,000 | 1,000 | 1,120 |
報酬の取り方が違っていても、とても大きな差があるわけではないことはご理解いただけたと思います。大事なのは、成功報酬部分でレーマン方式の対象となる部分が譲渡価格なのか移動資産等何になるかになります
室長コメント
成功報酬のみの方が、一番リスクが少ないと思われると思います。一方で、M&Aプロセスを行っていく中で本来の目的を見失い決意がぶれてしまうことがあります。着手金や中間金を支払っていると、自分自身の中での決意の表れであり、譲渡を取りやめるにしても支払った分が返ってこないため、安易に間違った方向に進みにくいという特徴があります
さて、次回は、報酬以外にアドバイザリー業務委託契約書についてご説明をします